子供の頃から私は身の回りに浮かぶ不思議なものを見つけることが大好きでした。ベランダから取り込んだ洗濯物の山や壁のシミ、布団のシワなどによって形取られ、現れた物体です。その世界に引き込まれ、長時間浸ることがよくありました。私が遭遇した数ある中に幾つか特に印象深いものがいまして、そのひとつは、頭のてっぺんにひとつ大きな角、そしてふっくらとしたほっぺを持った子鬼でした。ある日、私は母のお嫁入り道具のタンスの表面に彼を見つけました。当時、活発な少女だった姉と私は汚い手足でそのタンスに触れていまして、、その結果、大切なタンスに幾つかのシミができてしまったのです。今でも母に申し訳ない気持ちですが、、　とにかく、そのシミのひとつが彼です。彼は悲しそうな、でも嬉しそうな、何かこう、、落ち着いた微笑みを浮かべながらうつむいていて、、恥ずかしげな表情をしていました。それから私は毎朝毎晩と彼に会うようになり、私の大切な友となりました。

それから長い歳月を経たある日、毎日いやいや処方していた薬のカプセルパックが潰れて、、できた形が昔見た生き物たちに見え、私は驚愕しました。その瞬間から一変して薬タイムはハッピータイムとなり、今日もパックをいじりながら形が見え出すことを楽しんでいます。私が見る彼らの世界を小さなディスクの上に表現し、キャラクターをその上にのせることで、一瞬にして彼らの不思議な世界が息づき始めるのです。

多分、あなたも私と同じような体験をされているかもしれません。でも、もしかしたら多忙な生活の中で忘れているかも？ そんなあなたが、私の世界を見ながら何かを思い出してくださったら素晴らしいなあと思います。もしくは、私の世界に入り込んで一緒に楽しんでいるうちに、そこから何かご自分の世界が生まれるかもしれません。私がある日、突然引き込まれたように。

　聖見

Instagram:   kiyomiartcom

Facebook:   Kiyomi art com

Twitter:     Kiyomi Hara Tsukada

　　　　@1QrMCUoW9PdlryR